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晴久が準備の整った多香子に声をかけていた。
「僕らも出かけるぞ」
「はい」
そういって、歩幅の出ない着物に苦労しながら、後をついていった。
「すごいなぁ。和服だと気の強さがこんなに緩和されるんだ」
「慣れていないだけ。口だけなら変わらないよ」
「たしかにそうだった」
ケラケラと楽しそうに晴久が笑っていた。また車を出して、ショーの会場に向かった。
今回はライブレストランと言うかステージと客席とちょっとしたテーブル、そして奥にも何かあるらしく人の動きがあった。
多香子は好奇心で一杯になると、キョロキョロしだした。人通りのないところに行くと晴久が話しだした。
「今日は絶対に離れないでくれ。人身売買組織にまわされるぞ」
流石に冗談だと思った多香子は、おかしそうに笑った。しかし晴久は、逆に表情を固くした。
「今日のに連れてくるべきか迷ったけど、来るべきじゃなかったかな」
「どういう事」
「あの奥では秘密のことが繰り広げられてる。パートナーの交換だ」
「つまりは。そういうこと」
「これは、君の想像通りとしておこうか。あのカーテンの奥ではそういう事がOKということになる。連れて行かれないようにするんだな」
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