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そう言って、わらった晴久と対象的に多香子は顔がひきつってしまっていた。
「可愛いな。多香子は。すぐ表情に出る」
いつの間にか多香子の後ろに回っていて、抱きしめていた。その手を多香子が撫でると、首筋にキスをしてきて、合わせから手を入れていた。
「こんなところで、やめてください」
「大丈夫、こんな隅を誰も見てない。他の連中は今夜の相手を見定めるのに一杯だよ」
「和装の女はおしとやかと言うけど、君からは濃厚な女の匂いしかしないな」
そのまま窓のカーテンの影に入って、多香子の口を吸った。息が続く限りお互いに吸い合うと、しばらく見つめ合った。
「まったく、あかねさんは気が利かなかったな。もっと衿を抜いてもらうべきだった。手が入らなかったとは」
「それは、私が清楚な女性だと思ったからでは」
そんな多香子を見て、ふん、と鼻を鳴らすと不貞腐れていた。
「いや、僕が君に手を出しにくくするためだと思うね。その襟足に欲情しそうだから」
「晴久のそのスーツ姿に男を感じてる。シャツのしたに適度な筋肉をかんじられるから」
「そういわれると、あっちに行きたくなる。駄目だな。君は脱がすと着付けられないし」
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