第8章 初めての秘密の痛み

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 前にあった時に言った「悪い多香子の尻に鞭を打って欲しい」といったことを思い出して、隣の晴久の顔をまじまじと見つめていた。その視線に気がついているはずなのに、晴久は多香子の方を見なかった。かわりに左手を探ってきて、当たると優しく撫でだした。  会場は女の肌を打つムチの音と悲鳴混じりの声だけが響いていた。白い肌が鞭を受け、徐々に色づいてきた。 「多香子、鞭の種類と打ち方で、痛さも変わるし、跡もつかないようにすることができる。よく見ておくんだな」  何処か意味深な声で、どうされたいか考えておけと言われているようだった。すると、多香子にはあの女と自分が入れ替わってしまったように感じた。悲鳴が痛みになって伝わるようになってきた。するとからだに不思議な振動を感じた。  おもわず、晴久の顔を見ると、薄ら笑いを浮かべているように見えた。 「ひょっとして、感じてるのか。肌襦袢とショーツにバイブを仕込んだんだけど、うまくいったようだね」  少し怒りを感じつつも、反応する身体を押さえなくてはいけない多香子は、ステージに集中することにした。 「これで、痛みと快感がつながると面白いかもね」
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