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三階に部屋をもらった。
六畳一間だが、荷物はバッグがひとつだけ。布団を敷く広さがあれば、寝るに不足は無い。
住むところが無い身だから、文句が出るはずもない。
「超人・・・そうなのかなあ」
アキラは大の字に寝転がり、自分が何なのか自問してみる。答えは・・・分からない。
退院したら、住むところも仕事場も無くなっていた。ここにいれば、雨露はしのげて、飯の不自由は無さそうだ。
すこしまどろんだ。
「仮登録完了、これできみも超人だ!」
闘兵衛が大声で入って来た。
目をこすり、アキラは起き上がる。
「かり?」
「超人の活動には国家予算がからむ。なので、手続きは複雑、かつ厳正だ」
「国家予算が、ですか」
「まず、仮登録だ。その上で、魔物と戦って実績を積み、身体検査を経て、正式に国家登録上の超人となる。きみ自身に国家予算が付く。無論、我々もマネジメント料をいただくが」
闘兵衛はアキラを部屋から連れ出す。
階下に行った。いくつかのアスレチックマシンやマットがあり、超人が体調を整えるジムになっていた。
ロッカーを開ければ、超人のためのスーツが並んでいた。ヘルメットやゴーグル、手袋にブーツ、小物もいっぱいある。
「さあ、好きな物を取りたまえ」
「誰かが使った物ですね?」
「う、うむ・・・」
アキラの問いに、闘兵衛の顔が曇った。
「ここと同じような事務所は、他にもあるのでは?」
「ジョニー事務所は有名だな。SWAPとかOCAMA男子とか、複数人の超人戦隊を作っている。怪物退治の専門家としては、津武羅谷プロダクションも有名だ。一時、わたしも世話になった」
「やっぱり、あるんだ」
「当、太刀花闘兵衛スーパーヒーロー事務所には、前は石丸強志くんがいた。彼は今、永井豪氏の事務所で活躍している」
「けっこう、人の移動があるんですね」
「まあ・・・ね」
はあ、はため息した。ヒーローと言えど、あるいは・・・ヒーローだからこそ、人間関係は難しいのかもしれない。
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