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色素の薄い彼の髪が靡いて、向こうに水面が覗く。 相変わらず煌めき続ける光景に、感じたことのない気持ちを重ね合わせる。 「眩しい」 その言葉が、一番似合っていた。 私の淡い気付きに構わず、彼は言う。 「人は死んだら、どうなると思う?」 その問いに、私は上手く返すことができない。 月はもう、西に傾き始めている。 「私は、」 死んだらどうなるか、なんてそんなこと。 考えたところで。 「私は」 その先を、口にできない。 彼が振り返った。 「あなたは、あなたはどう思いますか」 いつの間にか、私は彼に訊き返していたようだった。 こんなに強く声を出したのは、いつぶりだろう。 「僕はね、」 彼は少し考えるような振りをして、上を向いた。 瞳に映る、輝く天体の像。 「僕は、死んだら…」 目を細めた彼の周りを漂う空気が、少し変わった気がした。 私は目に焼き付けるように、彼の姿を見ていた。 何も言葉に出さず、ただただ彼から紡がれる、その美しい音を待つ。 「死ぬことも生きることも同じようなことだと、僕は思うんだ」 世界の悲しみを全て背負ったような、あまりにも感傷的な声色だった。 「きっとね、死んだところで何も変わらない。だから、生きる意味も、価値もない」 彼は、あてもなく淡々と無気力に生きている私とは違う。 それは雲泥の差だ。 彼の発する一字一句には深い想いと経験で形づくられたのであろう、まるで全てを見透かしたような、諦めたような、そんな空気が含まれていた。 「でもあなたには、生きてほしい。勝手なことを言っているように聞こえるかもしれないけど…」 彼は紡いだ言葉を濁し、目を瞑った。 どうして彼がこんなことを言ったのか。 なぜ私に生きてほしいと言ったのか。 私には、到底分かるはずもなかった。
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