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部屋から出る直前に、夫婦にさっきのインターホンはなんだったのか聞かれ、思い出す。
誰もいないのに鳴ったインターホン。
あれは一体なんだったのか。
思い出したら急に怖くなり、扉を開けるのを躊躇していた。
夫婦には、ハウスクリーニングが終わっていなかったのもあり、誤作動でも起こしたんでしょうと誤魔化した。
夫婦が靴を履いたのをみて、みょうふを振り払い扉を開ける。
身構えていたが特に何もなく、3件目に向かうために部屋を出てエレベーターに乗り1階へと降りていく。
5階のエレベーターの前にはさきほどの男はおらず、1階へと着きエレベーターを降りて車へ乗り込んだ。
3件目へと向かう車の中で、軽く次の物件の説明をする。
10階建ての7階で、景色がすごく良くて日当たりも最高と話していると、不意に車のスピーカーから『一緒に行く』と声がと聞こえてきた。
音楽は流していない、むしろオーディオの電源すら入っていないので、何かが聞こえること自体おかしい。
外から聞こえた声がそう聞こえただけかと思い、夫婦にも今の聞こえました?と夫婦に話しかける。
返事がないので再び聞いてみるが、返事は帰ってこなかった。
不思議に思い、ルームミラーで後部座席に座っている夫婦を見てみると、夫婦は目を見開き、口を半開きにして「うぅぅぅぅぅぅぅ」とうめき声を上げていた。
ビックリした俺は目の前のコンビニの駐車場に入り、車を止めて外に出て後部座席のドアを開けようとした。
【ガチャガチャガチャ】ドアが開かない。外に出られない。
混乱しながらも夫婦に大丈夫ですか?と声を掛けた。
そして振り返り、夫婦を見ると夫婦の間ののシートに人型のシミがあり、再びスピーカーから声が聞こえてきた。
『お前も一緒』その声を聞き恐怖が抑えられなくなった俺は叫び声を上げた。
【ガチャガチャガチャガチャ】必死にドアを開けようとするが開かない。
『一緒』再び声が聞こえたのと同時に、俺は何かに腕を掴まれ、動けなくなった。
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