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声も出せなくなり、絶望を感じていると不意にドアが開き、「大変でしたね。大丈夫ですか?」と声を掛けられた。
その声に反応して顔を上げると、お坊さんが何かに掴まれた腕と逆の腕を掴んでいた。
そのあとすぐになにかに掴まれていた感覚はなくなり、動けるようになった。
何が起こったのかわからない。そう思いながら後部座席を見てみると、夫婦の間にあったシミはなくなっており、寝ている夫婦がいるだけだった。
お坊さんに車から降りるように言われ、降りると軽く肩を払われる。
不思議に思いお坊さんをみると、あなたはこれで大丈夫と言われ、ホッとしたのもつかの間、夫婦は大丈夫じゃないの?と焦りだす。
そんな俺をよそにお坊さんは夫婦の手を掴み、何かを話すと、寝ていた夫婦は眠りから覚めた。
何がどうなっているのかわからないままお坊さんは夫婦に話し始める。
夫婦によくないものが憑いているので、お祓いをしたほうがいいと言う内容だ。
心当たりのある夫婦はそのままお坊さんに連れられ、お寺へと足を運んだ。
俺も行ったほうがいいのか考えていると、お坊さんは「あなたは来ないほうがいい。来るとあなたに憑いてしまう。あなたはまた後日に」と言われた。
それから1週間ほど経過したときにコンビニで偶然お坊さんに合い、大丈夫そうですねと言われ、あれは一体なんだったのか、シミの正体はなんなのか?と質問すると笑顔で答えてくれた。「知らない方がいい」
そう言われ、何も言えなくなった。
その後、あの夫婦の来店もなく、どうなったのかはわからない。
考えるのも怖くなり、続けていく自信がなくなった俺はこの仕事も辞めることにした。
第2話:完
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