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一組目が10分程で帰って来たのに、二組目は20分経過しても戻ってこない。遅い。なにかあったのか?と話をしていると二組目が戻ってきた。
女の子が怖がっていて中々進めなくて遅くなっただけだと言って、笑いながら屋上の写真を皆に見せる。
何も写っていないなと皆がつまらなさそうに言っているのを聞いて、俺は良かったと思いながら写真を見て固まってしまった。
また女性が写っている。
一組目の撮った写真に写っていたベンチに座る女性は、気のせいではない。
皆に写っていると伝えても、またかよと笑われるだけだった。
なぜ誰も気づかないのだろう。
二組目が撮った写真は、先ほどとは少し違い、女性がベンチに座っているのではなく、ベンチの前に立っていた。
嫌な予感がする。
何かおかしい。この肝試しやめたほうがいい。そう皆に言っても怖がってるだけだと笑われるだけだった。
俺が言っていることは誰にも聞き入れてもらえず、三組目の俺たちが出発する。
怖い…。
これ以上進んではいけないと本心では思っていた。
そんな俺とは裏腹に、ペアになった子は楽しそうに廃工場内を進んでいく。
階段に差し掛かった時に、ペアの子がさっきの写真のことを話し出す。
本当に写ってた?
その一言に、絶対写っていたと答える俺。
階段を上がり二階へ上がった瞬間【バンッ!】と何かが倒れる音がなる。
音に驚いた俺たちは恐怖でそこから動けなくなってしまった。
屋上へ続く階段がある扉とは反対方向から鳴り響いた音の方へゆっくりと視線を送る。
暗くてよく見えないが、何かが動いているように見える。
それはもう一人も同じようで、何か動いてる?と呟く。
恐る恐るそちらへ明かりを向けると、天井からぶら下がっているボロボロのカーテンのような布が揺れているだけだった。
二人でホッと息を吐き、なんだただの布かと言って気づく。
そちら側に窓はなく、風もないのに揺れている布。
何故?と問いかけるように二人で顔を見合わせていると、その布が天井から外れて床に落ちる。
【ドサッ】と音を立てて落ちる布に再び驚き、ビクッと肩を跳ね上がらせた。
それと同時に、ズルズルと何かを引きずる音が聞こえてきた。
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