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床に落ちた布がゆっくりと動いて近づいてくる。
恐怖を感じた俺達は、布とは反対の方向へと走り出した。
恐怖でまともな思考ができない。
すぐに隠れなければと考えてしまい、近くにあった扉を開けて入ってしまった。
屋上へと続く階段の扉へ。
そっちに行ってはいけない。
本能で動いた俺はもう一人の腕を掴みそっちは屋上だから逃げられないと言い、扉を出ようとした。
ガチャガチャとノブを回すが扉は開かない。
二人で扉を開けようと必死になっていると、【バァン!】と向こう側から扉をたたく音がする。【バァン!バァン!!】と何度も叩いている音が響き、怖くなった二人は皆に連絡して助けてもらおうとスマホを見るが、画面は真っ黒なままで反応しない。
どうするか一瞬迷ったが、屋上から皆を呼べばいいという結論に至り、階段を上がって屋上へと出た。
柵の方へより下を見るが、暗くて何も見えない。
助けて!と叫ぶが返事はない。
3回ほど叫んだ時、下に灯りが見え、大丈夫か?すぐに行くからそこにいろ。と声が聞こえてきた。
これで助けてもらえるとペアの子は安心していたが、何かしっくりとこない。
違和感がある。そう思って考えていると視線を感じ、ベンチの方向へ視線をやると、こちらをじっと見つめる女性が立っていた。
その女性と目が合った瞬間二人とも動けなくなり、その場に立ち尽くしていた。
その女性はブツブツと何かを呟いているが、うまく聞き取れない。
フラフラした足取りでこちらへ近づいてくる。
段々距離が縮まり、何を言っているかが聞き取れるようになった。
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