本当にあった怖い話

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5階に着くと、エレベーターの前で一人の男が外からエレベータのボタンを押して立っていた。 俺達がエレベーターから降りる間に、扉が閉まらないようにしてくれていると思い、ありがとうございます。とお礼を言うと、男が小さな声で何かを言った。 そのまま廊下の1番奥にある角部屋へと向かう。 夫婦がいい人が住んでるみたいで良かった等、話しながら廊下を歩いているが、俺は違和感を感じていた。 男はエレベーターが5階に着く前からボタンを押していた。 そして降りるときに微かに聞こえた声。 お礼に対して言われたにしては不自然な言葉。 聞き間違いでなければ、ありがとうに対して帰ってきた言葉は『どういたしまして。やいいえ。』などの言葉ではなく『一緒』だった。 部屋の前に着いたので、気のせいだと自分に言い聞かし、鍵を開けて扉を開ける。 扉を開けたまま夫婦に中へと入ってもらい、扉を閉める。 扉を閉めるときにチラッとエレベーターの方向を見たとき、エレベーターのボタンを押して立っている男が同じ態勢のまま立っているのが見えた。 なんで乗らない?いつまで外からボタン押してエレベーターの扉を開けっぱなしにしているの? 玄関で立ち止まっている俺を見て、夫婦が話しかけてくる。 ハッと我に返り部屋の案内に意識を向けた。 一通り部屋の案内を済ませ、2件目に向かおうとすると、【ピンポーン】と部屋のインターホンが鳴った。 部屋を案内するときにブレーカーを上げているので電気は通っている。 押せば鳴るのは当たり前なのだが、誰も住んでいない空き部屋のインターホンが鳴るのはおかしい。 扉の外側のドアノブには空き部屋だと証明する公共料金の契約の用紙が吊るされている。 たまたま俺達が部屋に入っていったのを見て、勘違いしたのかな?とも思ったが、扉を閉める前に見たのはエレベーターのボタンを押しっぱなしで立っている男だけだった。 夫婦が不安そうにしているのを見て、誰かが勘違いしてインターホンを押してしまったのかもしれませんね。と笑顔で言い、扉を開けた。
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