エピソード10:朱雀×グレン

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エピソード10:朱雀×グレン

「ううう、せんぱーい・・・」 ここは京都蒼星総合病院 ブルースターカンパニー系列の病院だ。 『緊急手術中』 ランプが消え、ドクターが手術室から出てきた。 「先生、本間先輩は?」 駆け寄る私・・・ 「一命はとりとめたが意識が戻らなければ・・・」 「そんな・・・」 私は愕然とした・・・ その後、本間先輩は一般の病室に移された・・・ が、意識はないらしく眠ったままである。 私のせいだ・・・ 「お願い、ダイナマイト、力を貸して・・・」 私は思わず青龍の鍵を握りしめた。 すると・・・ どこからともなく私の頭の中に語りかける声が・・・ 『苦しい時の神頼みか?そんな都合のいいこと・・・と言いたいところだが、できなくはない。』 え?あまりのことに私は驚いた・・・ 声はさらに語り掛ける・・・ 『まあ、気はすすまぬがな・・・ただ、レムリア帝国と無関係な本間海菜を抗争に巻き込む事になるが、よいか?』 あまりのショックに幻聴まで聞こえてしまったのか私・・・ 『お主いま、ここまできて気のせいで済まそうとしなかったか?』 え・・・どうやら青龍ダイナマイトさんが本当に語りかけた声だったようだ。 「できるならぜひお願い!」 私は迷わずダイナマイトさんに頼んだ。 『ふむ。ならば朱雀の鍵と青龍の鍵を重ねろ。』 私は先ほどの騒動で、誰にも渡すことができなかった朱雀の鍵を青龍の鍵に重ねた・・・ すると・・・ その瞬間私の視界はぼやけ、目の前にはいつぞや見た白い空間が広がっていた・・・ そこには以前見た青い服の女性と初めて見る青年が立っていた。 青年の髪はやや長髪で燃えるような赤い色をしている。 「おお!このちんちくりんが、新たな青龍の巫女か?!」 「誰かしらないけど、ちんちくりんいうな!」 む、赤い髪の青年、初見の私にムカつく事をいうな・・・ 「おい、第一声で言うことはそれか・・・我が巫女をからかうな・・・」 あまりの言い様に、さすがの青い服の女性・・・ダイナマイトさんも少しイラついているようだ。 「ははは!すまん!うむ!我に食ってかかるとはなかなか面白い巫女だ!」 赤髪の青年は豪快に笑った。 「我が名は朱雀の化身グレン!青龍の巫女がなぜ我を呼んだ!」 「重症の本間先輩を助けて・・・」 「そういうことだ。」 「おい!ダイナマイトよ!突如召喚された上にこれはどういうことだ?!我は医者ではないぞ!」 「え?無理なの・・・」 「いや、こやつ・・・グレンならできる。わらわからも頼む。グレン!お主の"あの力"を使ってくれ!」 「お願い!!」 「ほう!ダイナマイト!プライド高いお主が頭を下げるとはな!珍しいものだ!よほど巫女が気に入ったのか!?」 「わらわとてこのようなことはしたくはない。しなければマリンはおそらく巫女を放棄しそうだからな・・・」 あ・・・ばれた・・・ 「言っておくがマリンお主の考えは読めるからな・・・」 急に私に顔を向けて言い始めるダイナマイトさん ひ・・・ 「ははは!うむ!巫女のかっての頼みだ!面白いものも見れたのでな!力を貸してややろう!ただし!その本間海菜という娘に宿命を背負わせてしまうがな!」 パチン そう言って右手でスナップするグレン。 この空間に新たな人物が! 本間先輩?? 「え・・・ここは??あたし、死んだの?」 異常なまでに状況把握が早い本間先輩・・・ 「えーと、この状況どう説明すれば・・・」 どこから説明すればいいかわからず、おろおろする私・・・ 「てか、伊藤?なんの冗談だ・・・」 「えーと・・・どこから説明すれば・・・」 「うむ!青龍の巫女は説明できないらしいな!から代わりに我が説明してやろう!端的に言えばこのままであればお主は死ぬ!」 「うう・・・やっぱり・・・」 悲しそうな顔をする先輩・・・ 「だが!この二人がどうしても死なせたくないらしいのでな!我の復活の力で蘇らせてやろうということだ!」 「え?そんなことができるんですか!」 今度は驚きの顔に変わる先輩、今日は表情がころころ変わるな・・・ 「うむ!我は朱雀の化身だからな!その代わり!お前はこれから朱雀の巫女になるがな!」 「え?あの仲間を七人探すラブコメ?」 珍しくボケてる本間先輩、じゃあ私はゆいちゃんじゃん。 「さすがにここで死ぬと、このバカがピーピー泣くから死にたくないです。 だからチャンスがあれば頼みます。」 さすが本間先輩こんな状況でもカルい! 『うむ!"契約"は成立したな!わが名はグレン!我が"朱雀の力"を与えてやろう!』 え?やった!これが本当なら本間先輩は死なずに済むはず!! というところで再び病院に視界が戻った。 すると・・・ 「ほ・・・本間さん??」 医者が腰を抜かしてるシーンが目に飛び込んだ。 なんと今まで意識のなかった本間先輩が、何もなかったかのようにベッドから起き上がったからである・・・ 「やった~朱雀の力最高~!!」 思わず本間先輩に飛びつく私。 「おい伊藤!かいなさんは重傷者だぞ!」 さすがにビックリして止めに入る大ちゃん。 「ま、大丈夫!あたし、不死身だし。」 「??」 混乱する大ちゃん。 まあ、先輩の言っていることはあながち間違いじゃないけどね・・・ 「あれ?」 ガタガタガタ・・・ !! 本間先輩の復活を喜ぶ間もなく、突然病院が揺れ始めた。 「なに?地震?」 「ん、おかしいぞ!揺れが大きいわりに震源が表示されない・・・」 大ちゃんは安全を確保しつつ、スマホで地震速報を見ていた。 すると突然・・・ 『鍵を寄越せ~』 どこかで聞いた声がスピーカー越しに響き渡った。 「げげ!この声はカー・チョウ!」 そう、先ほど撃破したはずのレムリア帝国の手先が再び姿を現したのである。 「病院襲撃とかまじ最低!」 「今度はイノシシ型のロボットかよ。」 病院の窓から見えた姿はまさにイノシシのそれであった。 『ははは、いいぞマッド・ボア!このまま病院ごとつぶしてしまえ!』 「なんてやつ・・・ここには患者さんがいるのよ!」 「ここはあたしにまかせな!やられっぱなしでカリをかえせてないからな! っと!この鍵もらうぞ!」 「あ、いつの間に・・・」 朱雀の鍵を持った本間先輩は、先ほどまで生死の境をさまよっていたとは思えないほど身軽な動きで外へ出て行った・・・パジャマ姿で・・・ 「来たれ!朱雀グレン!!」 突然、空が夕暮れ時のように赤くなったかと思ったら、真っ赤な鳥型のロボットが現れた! 「"朱雀"が復活しただと!そんな馬鹿な!」 イノシシ型ロボットから驚愕の声が聞こえる・・・ 「封印解除(アンロック)」 先輩はグレンに向かって朱雀の鍵を当て、開ける。 「搭乗(ライド・オン)」 すると先輩は朱雀の中に取り込まれた。 「変形(チェンジ)」 最後の言葉と共に赤い鳥のロボットは人型に変形した。 そして・・・ 『死にたい夜をやり過ごし 朝を迎えた朱き不死鳥 装甲鳥帝グレン×カイナ 炎まといて華麗に見参!!』 お決まりのポーズをとった後、真っ赤な機体が大地に降り立った! 「ふん、朱雀まで復活してしまうとは計算外だったが・・・まあいい! このマッド・ボアの泥の餌食になれ!」 といいつつ突然泥団子を飛ばすマッド・ボア! 泥とは言えなんかきちゃないな・・・ 「とことんムカつくやつだな~こうなったら鳳凰戟(ほうおうげき)!」 グレン×カイナは背中から棒のようなものを二本取り出し、つなぎ合わせ槍を作り出した。 そして・・・ 「この程度ならば、はじきとばすまで!」 見事な槍裁きで泥団子を粉々にしていく! 「なんだと?」 「もう、おしまい?なら、こちらから!炎と躍りな!煉獄乱舞(インフェルノダンス)!!」 炎を纏った鳳凰戟をさばきつつ、まるで舞を舞うかのように連続攻撃を繰り出すグレン×カイナ! 「うおおお!」 マッドボアは炎に包まれ、そのまま爆発した! 「うそ!めちゃつよ!!」 私達はグレン×カイナという新たな強い力を得た。 しかし、これは同時にレムリア帝国との抗争を一層激化させるという意味でもあった。
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