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エピソード6:再会×カイナ
放課後、校内で珍しい人物に遭遇した。
「あれ?先輩、卒業できたのは実は嘘で、留年したんですか?」
「伊藤!おま・・・毎度毎度!大学生活が落ち着いたから、軽音部のOG訪問だ!」
会うなり私の頭をグリグリするこの人物は、昨年この高校を卒業し、晴れて大学生となった本間海菜さんだ。
「ちょ・・・じょうだんですよぉ・・・」
「お前の冗談は悪意がある!」
「ま、否定はしないけど・・・」
「もうちょっとやっとくか!」
グリグリ
「ぎゃー!」
「先輩こんにちは、相変わらず仲がいいですね~」
「おお、地井も相変わらず元気そうだな。」
チャンチーを見て飛びっきりの笑顔になる本間先輩、この差はなんなんだ・・・
「そういえば先輩、部活の方は大丈夫なんですか・・・」
「あ、そうだ。伊藤と遊んでる場合じゃなかった。じゃあな!」
「いたたた・・・ひどい目にあった。」
と・・・前回から時間が少し経っているが、その後詳細は聞けずじまい。
この前の戦いの後、大ちゃんは「日を改めて話す。」と言ったきり姿をみせていない・・・
いやこれ普通に無断欠席にしか見えないんだけど・・・
「結局大ちゃん、全然姿見せないんだけど、チャンチー何か知ってる・・・よね。」
「ま・・・まあ、そろそろ連絡が来るんじゃないのかしら。」
「そういうもの?」
チャンチーのセリフに半信半疑だった私だが、放課後本当に大ちゃんが現れた。
「大ちゃん・・・今から来てももう授業終わってるよ。」
一応話してみるが・・・
「わかってるって!こっちはこっちで忙しいんだ!」
理事長の仕事でもしているのかな・・・と考えていると・・・
唐突に大ちゃんが
「悪いが付き合ってもらうぞ。」
と言い始めた。
「な・・・なによいきなりデート?私にも心の準備が・・・」
なんなのかよくわからないがちょっと焦ってしまう・・・
だが、大ちゃんは白けた顔で淡々と答えた。
「わかっていると思うが、とりあえず理事長室な・・・」
「おーい、ボケるか突っ込むかしろ~」
そうだろうと思ってあえてボケてはみたけど、スルーされたのでなんだか悲しくなった・・・
この手のボケはやっぱり本間先輩しか乗ってくれないか・・・
あれ、本間先輩・・・
「いいタイミングだな・・・」
なぜか本間先輩を含めチャンチー、私、大ちゃんで前回と同じノリで理事長室に入る。
以前はここで話を聞いたわけだが・・・
今回の目的の場所はここではなかったのである。
なんと理事長室の奥にエレベーター??
「乗ってくれ」
ビルなどにある少し大きめのエレベーターに乗るとそれはどんどん下がっていくようであった・・・
そういえばこの学校地下室ってあったっけ?
チーン
エレベーターがお決まりの音を鳴らし停止した。
すると・・・
え?これは?
目の前にはよくロボットもののアニメで見るいかにも指令室らしき機械類の並んだ部屋がひろがっていた・・・
「とりあえず形式的にだが言っておくか・・・ようこそ、『遊撃隊ブルーゴーツ』へ!」
「は?」
私はなんのことだかさっぱりわからず私は間抜けな返事をすることしかできなかった・・・
呆けてる私をよそに大ちゃんは淡々と話はじめた。
「説明を全くせずに悪かった。この前襲撃してきたロボット達は"レムリア帝国"のロボット、"ビーストウォリアー"達だ…そして、その中でも特別な力を持つのが、魔鈴が乗っていた青い龍のロボット『ダイナマイト』だ。やつらはそれを狙っている。」
"レムリア帝国"…"ビーストウォリアー"…"ダイナマイト"
色々な単語が飛び交い混乱しているが、
最大の疑問が頭に浮かんだ…
「どうしてレムリア帝国はダイナマイトをねらっているの?」
「そう。先ほど話したレムリア帝国の"秘宝"の一つだからだ。これを手にいれたものは世界を支配できる。帝国はダイナマイトを使って世界征服をたくらんでいたが、俺らが阻止するために鍵を奪って逃げた。」
「なるほど・・・だからヒーラが反逆者とかいっていた訳ね。とはいえあの敵のロボットたちでも十分世界狙えそうだけどね。」
「いや、それを止めるために俺らがいるわけだし。しかも近代兵器を使えばあのロボットぐらいなら阻止できるだろうな…」
確かに、いくらあのロボットが強くても戦闘機やミサイルの攻撃にどれだけ耐えられるかわからない。
「まあ、この件に関しては、俺らの方が得意としてるから任せてはもらっているがな~」
あっけらかんという大ちゃんだが、いったい"どのレべル"でこの話を任されているのだろうか?日本?それとも国連レベル?
あまりの規模の大きさに私がおののき始めたところで
ビービービー
今までの話の流れを断ち切るように
赤ランプと警告のブザー音が部屋に鳴り響く
「いってるそばからでやがったか…とりあえず校舎が壊されるのはまずい!撃退しにいってくれ!」
「わ?わたし??」
「そうよ!魔鈴!ほら!いくわよ!」
慌てる私はチャンチーに促され、さっきと違う場所のエレベーターに乗り込む
「ぎゃー!なにこれ!!」
「最短距離、最速で校庭にでるエレベーターよ!」
「もはやこれはエレベーターとは言わない~」
そう、このエレベータは先ほどのものとは比べ物にならないスピードで上昇しているのだ。
そのGのかかりかたは飛行機の離陸時そのものである。
一瞬気を失いかけたが、気が付けば私は校庭に立っていた。
そして、目の前には・・・
「え?夢ネズミ?」
大型のネズミのロボットがいた。
やつらが知っているのか知らないのかその風貌は夢のアミューズメントパークのキャラクターそっくりであった。
そして、気が付けば私達とロボットの間に長い髪の女性が一人立っていた。
件の本間先輩である。
「先輩いつの間に?」
「あたしも警報受けて一足先に出てきたんだよ!見てな!」
そう言いながらブレスレットを構える先輩…
「え?え?」
「召喚!スカーレット・ランサー!」
本間先輩がそう叫ぶと深紅のロボットが現れた!
「じゃあ、私達も!」
「そうね!」
私はダイナマイト×マリンを、チャンチーはアンバー・ファランクスを召喚して乗った。
「なんか、三体いるとロボットモノの王道って感じがするよね~グ◯ンゾードとかレ◯アースとか・・・」
「ヤメレ!」
ベシ
ロボット越しに本間先輩からツッコミを受ける私
「魔鈴~だから発言に気を付けてって!」
いや・・・チャンチー遅いって・・・
「さあ、気を取り直していくよ!」
私が気合いをいれて声を出すと黒い大型のネズミは例のごとく人型のロボット変形した。
「さあ、この前のリベンジマッチといこうか!」
律儀にも今までのやり取りを待ってくれていたようだ。
「その声はヒーラ・シャイン、また性懲りもなくあらわれたね。」
「ふん、このビーストは前回とはひと味ちがうぞ!」
「何度やっても同じこと!」
ここまではいつも通りか・・・
でもなんか様子がおかしい・・・
「ねえ、微妙に私達の髪の毛逆立ってない・・・」
昔下敷きで遊んだような感覚にとらわれた・・・
するとロボットは
「100KVアタック!!」
うわあ、予想通り電気攻撃
しかし、よけるすべなし!
「ぎゃあ、しびれる・・・ロボットがピカピカ光ってるし、一人エレキテルパレード・・・」
「魔鈴、だから危ないって!」
「ははは、みたか!そうこのビーストの名前を言うのを忘れてたな!サンダー・ラットだ!」
「安直」
「ピ◯チュウ・・・僕もうしびれて動けないよ・・・」
「やめい!!」
ヒーラ含めて全員から突っ込み入る!
「まったく・・・伊藤!油断しすぎだ!ここはあたしにまかせな!」
しびれてうごきが取れない私に代わって、スカーレット・ランサーがランスを構える・・・するとランスが炎に包まれた。
「おお、すげえ!」
そのままサンダー・ラット突進するスカーレット・ランサー
サンダー・ラットも雷で応戦するが、ことごとく避けられる・・・
そして・・・
「バーニング・ストライク!!
チェックメイトだ!」
ランスが深々と突き刺さったサンダー・ラットは瞬く間に紅蓮の炎に包まれた。
ビガ、ビッガァ!
とんでもない叫び声をあげ、サンダー・ラットは大爆発した。
「つ、つよ・・・」
「ふふん!どうだ!」
今回は本間先輩の一人勝ちで幕を閉じたようだ…
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