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エピソード8:京都×ソナ
「突然だが京都に行かないか!」
大ちゃんが唐突に言いはじめた。
「な・・・なによ・・・かけおちぃ?」
「しーん・・・」
「おーい、またスルーか!反応しろ~」
大ちゃんは相変わらず私のボケにスルーをする。
少しは反応してほしいのだが・・・まあ、懲りずにボケる私も私か・・・
「あの・・・四川クン・・・順を追って話した方がいいんじゃ・・・」
チャンチーの軌道修正によってようやく話を続ける大ちゃん。
「そうだな・・・続きは"あっち"で話すか・・・」
ということで私たちは指令室に来た・・・
「今、伊藤が持っているのが"青龍の鍵"なんだが、別動隊が京都で"朱雀の鍵"の有力情報を入手したらしい。」
「まさか・・・新しい鍵がすぐに見つかるなんて・・・」
驚きを隠せないチャンチー
「え?持ってると世界を支配できる鍵が二つも三つもあるってこと?」
「そうだ。正確には"四本"だ!しかもそれらは"共鳴"する。だから、鍵の所持者である伊藤にそっちに向かってほしいんだ。」
「そ・・・そうなん・・・」
「でも、魔鈴一人を向かわせるのは危険なのでは?」
「さすが、地井・・・」
問題点を即座に出せるチャンチーは確かにすごい。
「ま、やつらの事だから無防備な場合、移動や探索中に容赦なく伊藤を狙ってくるだろう。だから護衛を地井に任せようと思ったが、さすがにこちらの守りが手薄になりすぎる。そこで・・・」
大ちゃんの台詞と共に新たな人物の声が・・・
「あたしにまかせな!」
「げ・・・本間先輩」
いつのまにか本間先輩が立っていた。
「"げ"とはなんだ。」
「あの~逆はだめでしょうか~」
おずおずと聞く私、本当はチャンチーに一緒に来てほしかったのだが・・・
「海菜さんは、まあOGとはいえ、さすがに四六時中校内にいられんだろう。」
そっか、確かに言われてみればそうだ。
同行する理由は納得である。
しかし・・・
「ほーん、伊藤~あたしじゃ不満か?」
若干お怒り気味で、目の前でグリグリをする体制になる本間先輩・・・
「いいえ、めっそうもございません。」
身の危険を感じた私はこれ以上追求せずに従うのであった。
とほほ・・・なんかしんどい・・・
翌日
土日と校休を使って私は京都へ行くこととなった。
家族には京都の学生との交流会に私が選ばれたという事で連絡しているらしいが・・・
よくごまかせたな・・・
というかそれで納得する両親も両親だが・・・
昼過ぎの新幹線に乗り京都へ・・・
もう少し時間がかかるものだと思っていたが2時間少々で京都に到着してしまった。
その京都駅で私達を出迎えてくれたのは予想外の人物であった。
「リンリンお久しぶりある~」
「え?ソナ??」
孫 宙奈
ソルトバンクグループの令嬢にして私の友人、一年前は私達と同じ学校にいたのだが、三年生になった途端、京都の大学付属高校に転校してしまっていた。
まさかここで再開するとは・・・
「私もブルーゴーツの一員ある。」
「そう、孫には転校の名目で京都で活動してもらっていた。」
「そんなん大丈夫なの?」
「もともと引っ越す予定だったあるから大丈夫ある。」
「そういうことだ。」
たしかにソナは父親の仕事の関係もあり、高校生にしては珍しく転校を繰り返している。
それにしてもブルーゴーツの任務で転校ってありなんか?
とはいえ昔からの知り合いがいる・・・これは心強い。
「早速で悪いが、鍵のある可能性の場所まで案内してくれないか。」
大ちゃんの一言で到着早々に目的地に行く事になった・・・
どうやら事態は一刻を争うみたいだ。
私、大ちゃん、本間先輩は合流したソナの案内で京都のとある場所に移動した。
「ここある。」
「ここは・・・平等院鳳凰堂じゃないか・・・」
思わず声をあげる大ちゃん
「おいおい、孫、朱雀だから鳳凰堂って安直すぎやしないかい・・・」
あまりの状況に焦る本間先輩
「最も可能性高いある。」
「着いたはいいが中に入れるのか?」
「場所は世界遺産、見学ルートで近づくのがせいぜいか・・・」
「内部拝観も可能ある。」
ご丁寧にパンフレットを手渡すソナ
「ほんとだ・・・じゃあ早速中に入ろう!」
「それが・・・拝観時間過ぎてしまったある・・・」
そう、なんだかんだここまで移動に時間がかかってしまい今は夕方・・・
タッチの差で拝観時間が終了してしまったようだ・・・
「あちゃ~、鍵探しは明日に持ち越しか~」
頭を抱える大ちゃん、セキュリティの関係もあるようで、さすがに無理矢理忍び込むという無謀な選択はしないようだ。
「まあまあ、ここまで来たんだし散策、散策」
「伊藤、おまえは・・・」
鳳凰堂に入れなさそうなので、私は気分転換にお土産屋に入る事にした。
「へえ、お茶っ子とうーじ君だ!」
最近流行っている京都のゆるきゃらのコーナーをみつけた。
「留守番しているチャンチーにキーホルダーでも買おうかな~」
「おいおい・・・お土産買いにきたんじゃないぞ・・・」
本間先輩にたしなめられた。
「ん?あれ・・・土産物屋のキーホルダーに真っ赤な鍵が・・・」
キーホルダーのコーナーの隅っこにその場に似つかわしくない真っ赤が鍵がかかっていた。
「なにこれ?」
私が手に取ろうとした所・・・
「それをよこせ!」
背後から私の手を掴もうとする人物が!
「伊藤よけろ!」
「え?」
声を掛けられとっさに私はよけた。
「ちっ!あともうすこしで!」
手を掴もうとした人物が舌打ちをする。
振りむけば濃い紫色のコートの人物が立っていた!
「ん?女性?」
コートこそ来ているが髪型や体系から女性だということが分かった。
「こいつは、レムリアの手先か?」
「ふ、奪い取って逃げようと思ったが、さすがに数が多いな・・・まあ問題ない・・・」
紫のコートの女性は何かを取り出そうとするが・・・
「おっと、KJ、ここで事を荒立てるな!」
背後には背広を着た頭の涼しいおっさんが立っており、それを制した。
「カー・チョウ、貴様の指図は受けない!」
「KJ、君は立場をわかってないな・・・クライアントの指示はしたがってもらうぞ!」
「ちっ・・・」
舌打ちをし、何かを出すのをやめたようだ。
「チャンス!うちわもめある。今のうちに逃げるある。」
「そうね!」
ソナの提案に、反応しこの場を立ち去ろうとする私達であったが・・・
「そうはさせるか!」
すぐに気づかれてしまった。
「召喚!魔獣闘士」
カー・チョウの声と共にウシ型ロボットが現れた。
そして気が付けば紫色のロボットもいた。
なんと京都の町のど真ん中にロボットが突如二体現れたのである・・・
「うわっ!ロボットで進路塞ぐなんて無茶しやがる。」
さすがの大ちゃんも驚きを隠せない。
「朱雀、青龍両方の鍵をいただこう!」
カー・チョウの声であろうかウシ型ロボットから声がする。
「ひ~」
もはや応戦するしかない。
いきなり私達大ピンチである。
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