ぬるま湯

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ぬるま湯

 じっくりと焦らされながら責められるのが好きだ。覆い被さる相手の体温を感じながら、ただベッドに体を預けて、快楽を与えられるがままというのは特にいい。 「あ……ん、んんっ」  いつの間にか2本に増えた指が、円を描くようにぐるぐると俺の体の中心を押し広げる。相手の髪を掴んでいた手を自らの口元に移せば、胸元あたりにある顔がすっと俺を見上げた。眉間に浮いた小さな汗の粒が光を反射し、長い睫毛の下から猫のような吊り目が覗く。 「声、我慢しないで」  開いた口はそのまま俺の乳首を甘噛みする。硬い歯の当たる感触に、じわじわと情欲が掻き立てられる。 「ん……やだよ。恥ずいから」 「何で? 可愛いのに」 「あっ……」  伸びてきた手に手首を掴まれると、易々と口元から引き剥がされ、そのまま拘束するようにベッドへ押さえつけられた。俺がこれされるの好きだって、こいつに話したことあったっけ? でも、たぶん知られている。 「もっと可愛い声聞かせてよ」  俺のより少し高い声。それでこんなことを言われるのも悪くない。這うように登ってきて、耳をなぞる舌先が気持ちい。 「なぁ、ハナちゃん」 「……んンっ……あっ、やだっ」  湿った声であだ名を呼ばれるのと同時に、2本の指が腸壁越しに敏感な器官を押し上げる。浮きかけた腰を体重で抑え込まれれば、否が応でも絶頂へと一歩近づいてしまう。 「それっ、ヤっ……あっ、無理ッ、まって」 「何が無理?」  ピクリと手首を跳ねさせると、緩みかけていた力が再び強く込められた。動かない。それがいい。自分より背の高い男に手籠めにされるのが気持ちいい。ほんの数センチの差でも。 「ハナちゃん、これ弱いでしょ」 「ちがっ……んなこと……アッ、だめっ」 「すっごい中締め付けてくんだけど」  どこまでがわざとで、どこからが生理現象なのか、自分でもわからない。口で煽って抵抗して、体は素直に快楽へ屈する。少しマゾっ気があるのは否めない。だって気持ちいいから、これが好き。 「ああっ、や、も……無理、やめてっ」 「何で? ハナちゃん、目とろんとしてる。腰もガクガク」 「い、言うなっ……は、あっ、んっ」  バチッと目が合って、ニヤリと笑う顔。めちゃくちゃタイプ。 「可愛い。ハナちゃん」  あぁ、最高。好き。これ好き。このまま続けて。 「イキたい?」 「イキたっ、やっ……んあっ、無理だめっ……」 「どっちよ?」  好き。好き好き。ヤバい。もう無理。イキそ。イク。 「あっ、アッ、や、あっ、イクっ、も、あ、あぁ……っ!!」 「……あー、熱」 「あっ、や、ゆび……ぬい、て」  腰が跳ね、腹筋がヒクヒクと動き、直腸が収縮と弛緩を繰り返す。咥え込んだままの2本の指が前立腺を掠める度に、俺の口からはだらしなく喘ぎ声が漏れる。
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