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翌日、教室のオープンとほぼ同時にやってきたのどかを捕まえて、臨時の面談を行うことにした。
のどかもそのつもりだったらしく、表情は昨日と比べたらだいぶ明るくなっていた。
「早速だけど、この問題をやってみよう」
「これは、共通テストですか?」
「センター試験の過去問だね。十年前のものだけど、見覚えはないよね?」
現代文の問題はこの十年でほとんど変わりはないから、芹奈が学生時代に解いたことのある問題を選んだ。
これを目の前で解いてもらうのである。
「芹奈さんも解くんですか?」
「ううん。私は奥平さんが解いている様子を見てる」
「えぇ? なんか、緊張しますね」
「本番とはちょっと違う緊張感だとは思うけど、これも練習だと思って」
「わかりました。えっと、現代文だけですか?」
「文学的文章だけにしよう。目標時間は二十分で、最長でも延長は五分」
試験時間は八十分あるが、のどかには古文と漢文を先に解くように言ってある。
そっちを三十分以内に終わらせることが目標で、残り時間を現代文に割くのが基本的な作戦だ。
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