夏休み

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 これはのどかに限った話ではないのだが、芹奈の作戦としては、夏を境に国語の勉強量を減らすつもりなのだ。  古文と漢文の知識が身に着いたなら、あとはひたすら問題練習を積むだけになる。  新しく教わることはない、と言い換えてもいい。  国語の負担を減らす分、二学期は日本史に力を注ぐ。  十月末には教科書内容をひと通り学習し終える予定だから、九月と十月で夏までに習った内容を覚え込ませたい。  そして十一月以降は国語と英語の過去問演習を本格化させながら、日本史をもう一周させる。  冬休みに入る前には日本史も過去問に着手できるようにしたい。  これは二学期が始まるときに全員に話すつもりだから、ここでのどかに先行して話すつもりはない。  だからもし、この場でのどかがさらに自信を失うようなことがあれば、そのときは国語から強制的に遠ざけるつもりだった。  芹奈も学生時代に、得意なはずの国語でスランプに陥ったことがある。  そのときは今ののどかと同じように不安になってチューターに相談したのだが、そこで一週間の国語禁止令を出されたのだ。  やり方とか考え方が間違ってないのなら、下手に調整するともっとややこしくなるだろうと、一度距離を置いて見つめ直すという作戦だ。
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