夏休み

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「日程に関して、もうひとつ大事なことがあるんだ。これはぜひみんなの意見が聞きたいんだけど」  芹奈がこう言うと、四人が一斉に顔を上げて芹奈を見た。  どうやら最後まで飽きることなく聞いてくれそうだ。 「試験は何連戦までなら平気かな?」  二月の上旬から中旬にかけてが、私大入試のピークになる。  多い人では五日連続というケースもあって、これに関しては先生やチューターの間でも意見が分かれる。 「個人的には、三連戦が限界かなって思うの。同じ大学ならまだしも、三日続けて違う場所で試験を受けるのって、かなり負担になると思うんだ」 「確かに……。大事な試験が三連戦の三日目とかだったら嫌かも」  真っ先に反応したのはのどか。  基本的に芹奈の方針に乗っかってくれるから、困ったときはのどかに話を振りたい。 「模試一日でも疲れるからなー」 「そんなもん? あたしは別に平気って感じだけど」  雅貴と藍がコメントを出す。  こうなると自然と尚典の反応を待つ流れになるのだが、尚典は何も言わなかった。 「野原くんはどう思う?」 「どうでしょう……。試験って、どれくらい時間かかるんですか?」  現実的というか、しっかりしている。  よくわからない事案に対して適当なコメントはしないのが尚典の特徴だ。
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