夏休み

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「私は最長で三連戦だった。三つとも違う大学だったから、行き方にもかなり気を遣った覚えがあるよ」 「さすがに本番は一人で行くんすよね?」 「私はそうだったけど、最寄り駅まで親が一緒とか、友達と一緒っていう人もいると思うよ」  三連戦の三日目は、試験中に疲れを感じて、結果もだめだった。  本命の前は二日以上空いたから、万全の状態で受けられた。それでもだめだったんだけど。  あとは、試験、空き、試験っていう日程はなんとなく過ごしづらかった。  中日で勉強はしたけど落ち着かなくて、有効に使えなかった印象がある。  こんな感じで芹奈の経験を話すと、四人はなんだが満足そうな表情を浮かべていた。  これは毎年そうだけど、実体験はなぜか受けがいい。 「あれ、セリさんって明治っすよね?」 「うん。第一志望は早稲田だったんだけど、明治もみっつ受けてひとつ引っかかった感じだから、なんとか助かったって感じ」 「それって連戦じゃないんだよね? 同じ大学でもばらばらなんだ?」 「そうだね。全学部入試も合わせると、明治は二週間くらいずっと試験があったはず」 「それは俺も調べた。やろうと思えば六回くらい受けられそうだった」 「そんなに? え、受けるの?」 「さすがに全部はないだろうけど、俺もセリさんと同じ作戦でいくぜ」 「もうそんなこと考えてたんだ。あたしもちょっとくらい見てみようかな」  これでようやくこの話も終わりだ。  やっぱり一時間近くかかった。
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