プロローグ

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「そしたら、次は今後のスケジュールの確認ね。これはわかってると思うけど、一学期の授業は来週からスタートします。今日このあとテキストを配るから、初回の授業までにきちんと予習をしてね」  最新版の時間割を配布し、各自が来るべき曜日と時間を確認してもらう。  自分が受ける授業にマーカーで色を付ける子もいれば、じっと見てるだけの子もいて、こういうところも芹奈は注意深く見るようにしている。 「教室は受付前の掲示板に貼ってあるから、それを見て当日は動いてね。座席は決まってないけど、なるべく前のほうに座ることをおすすめするよ」  この言葉に生徒たちは反応しなかった。  何も言わなければ後ろのほうに座る傾向があるから、先に手を打った形である。  そのあとは、勉強の仕方について話した。  これは一年を通してずっと言い続けることではあるが、今回は特に強調して話すことにした。  成績向上の極意は復習にあると、芹奈は強く思っている。  生徒たちがどれだけ賢くても、先生たちの授業がどんなに素晴らしいものでも、使用するテキストが優れていても、一回の学習ですべての内容を頭に入れることは難しいはずだ。  だから、とにかく復習を大事にしてほしいと、芹奈は力説した。  こんなこと、言われなくても生徒たちだってわかっていると思うのだが、なかなか思うように復習作業が進まない事例が目立つ。  今年こそはそこを改善したいと、芹奈は意気込んでいるのだ。
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