プロローグ

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「面談って、何か必要なものはありますか?」 「初回は、使ってる問題集とか参考書を持ってきてほしい。受験で使う予定の科目だけでいいからね」 「時間ってどれくらいかかります?」 「三十分から一時間ってところかな。授業と違って枠が決まってるわけじゃないから、柔軟に対応するつもりだよ」 「決まった曜日じゃなくても、相談はしていいんですよね?」 「もちろん。勉強の質問は答えられないものもいっぱいあると思うけど、困りごとがあったらどんどん声かけて」  全員がひとつずつ質問をしてくれて、芹奈は嬉しく思った。  表情も心なしか明るくなったように見えるし、幸先のいいスタートが切れたかもしれない。 「あと他に、何か気になることはある?」  芹奈から話しておきたいことは全部伝えられたから、あとは質疑応答だ。  こういう場面ではなかなか手は挙がらない。 「大丈夫そうかな? じゃあ、最後に改めて、みんなで自己紹介をしよう」 「え、そんなことするんですか?」 「当然。これから一年このメンバーでがんばるんだから、お互いのことを知っておくべきでしょう?」  こう言ったものの、この取り組みは必ずしも必要というわけではない。  ここには勉強をしに来ているんだから友達付き合いはいらないという意見はあるだろうが、これに関して芹奈はゆずる気はなかった。
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