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「何を言えばいいですか?」
「簡単なものでいいよ。名前と受験に向けた意気込みだけは言ってほしいかな」
「じゃあ、俺からいいですか? こういうのは先にやったほうが楽だと思うんで」
「ありがとう。それじゃ、よろしく」
先陣切ってくれたのは雅貴だった。
照れくさそうに頭をかきながら立ち上がり、はきはきした口調で話し始める。
「俺は駒宮雅貴です。法学部志望で、GMARCHレベルに行けたらいいなって思ってます。よろしくお願いします!」
志望校に触れるあたり、割とオープンなところがあるようだ。
芹奈は控えめに拍手をして、次を指名する。雅貴から時計回りで進めることにした。
「野原尚典です。国公立に行きたいと思ってます。よろしくお願いします」
二番手の尚典は春休みに来たばかりで、芹奈もほとんど話したことはなかった。
今も表情は硬かったし、打ち解けるまで少し時間がかかりそうだ。
「次、私?」
この質問には、芹奈が無言でうなずく形で答えた。
芹奈は当然全員の顔と名前を一致させられるが、あえて名前は出さずに場を動かすことにする。
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