プロローグ

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「村川(あい)です。志望校はまだ全然決まってないんだけど、がんばります」  藍も三月に来たばかりだから、他の三人との面識はないはず。  それでも人懐っこい笑顔を見せてくれて、芹奈はとても嬉しく思った。  自己紹介がちゃんとできることって何気に重要だと思うから、最後の一人にも期待したい。 「私は、奥平のどかっていいます。私も志望校は決まってないけど、教育系に進みたいなって思ってます」  声は小さかったけれど、きちんと話してくれた。  この子は一年生の頃から通っていて、芹奈のことをとても頼ってくれている。  教育系を目指すのも、芹奈のようになりたいからだと言ってくれた。  のどかはやや人見知りの傾向があるから心配したけれど、うまくできたと思う。  やっぱり同じ受験生の仲間と支え合うことは必要だと思うから、今後は少しでもこの四人が仲良くなれるように働きかけていきたい。 「みんなありがとう。改めて、よろしくお願い――」 「待って、水津さんの自己紹介は?」  芹奈の発言を遮ったのは雅貴だった。  不意打ちに思わず驚いてしまったが、この提案はありがたいと思った。
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