食べて応援

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「原発処理水の海洋放出にともない、中国が日本産の海産物を全面禁輸したため、漁業者の収益は4割減となっています」  こんなのはただの言いがかりだ。  大阪一郎(おおさかいちろう)は憤りながらニュースを見て、テレビを消した。  一郎は革張りのソファーに背中をあずけ、どうすれば漁業関係者のためになるかを考えた。  一郎は西日本の市議会議員だ。保守よりの政党の支援を受けている。まだまだ61歳。議員としては若い方だ。最近脂肪がついてきたが、若いころ剣道に打ち込んだ名残の筋肉はまだ健在だ。  福島原発の処理水に関わる風評被害について、日本国を憂う気持ちがあふれていた。中国の全面禁輸はただの言いがかりだ。科学的には何ら問題はないと実証されているのだ。 「時子(ときこ)、福島県産の海産物について、俺はどうしたらいいと思う」  12畳あるキッチンスペースにいる妻、時子に問うてみた。  時子は一郎が大学を卒業し、商社勤めをしている際、顧客の娘として知り合った。大手製薬企業のお嬢様で、何不自由ない生活を送っていた。  お互い一目ぼれだった。  一年ほどつき合い、プロポーズをした。  以来大阪家を大きく支えてくれている。  選挙の際は率先して大阪の宣伝に協力してくれた。 「そうね」  と時子が頭に手を当てる。 「思いついたわ」  パッと表情が明るくなった。 「処理水の放射線濃度って微々たるものなんでしょ。私達で福島県産の海産物を買って、食べるってのはどうかしら。それをネットに上げるのよ。今は政治家もネットを使う時代。きっと好意的に思われるわよ」 「それは名案だな」  一郎はポンと手を叩いた。 「早速注文するぞ。ネットへの上げ方はよく分からんが、息子の大地(だいち)に頼めばいいだろう」  

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