プロローグ

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プロローグ

「アビくん、ここで働き始めてどのくらいだっけ?」  ヤドカリがカモに似た鳥に話しかける。後頭部から背中は茶色っぽい黒、顔からお腹にかけて白い毛に覆われたアビという鳥だ。 「えっと……もうすぐ4ヶ月ですね」  彼が答える。 「そうか。どう?仕事は慣れた?」 「はい、おかげさまで」 「良かった良かった!表情も明るくなってきてるね。その調子でがんばれよ!」 「ありがとうございます、オーナー」  アビはヤドカリに向かってお辞儀をする。鳥の表情は分かりにくい。しかし口調は落ち着いていて、丁寧だ。彼はロッカーにかけてある濃いめの茶色いスーツを取り出して着はじめた。 「私もそろそろ準備するか」  ヤドカリはうーんと伸びをした。そして座っていた石のベンチから飛び降りると体が大きく伸び始め……気がつくと人間の男性がそこに立っていた。 「今日もよろしくね、アビくん」 「よろしくお願いします、オーナー」
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