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Prologue
司を初めて見たのは四歳のときだった。
年中に上がってすぐの頃。家の前で幼稚園のバスを待っていたら、隣の家で、母親に抱きついて泣いている男の子がいた。それが司。
司は私よりもひとつ下の年少で、きっとその日は初めてバスで登園する日だったのだろう。
バスの先生に抱えられて司はバスに乗る。その後に続いて私もバスに乗った。
バスの席は司と隣だった。座ってもまだ司は泣いていたから、私は
「だいじょうぶだよ、あかりがいるから。ようちえんたのしいよ」
と話しかけた。
自分の方が上というのが嬉しくて、少しお姉さんぶってみた。
そうしたら、司は何も言わず、私の手をぎゅっと握ってきた。私の手よりも小さくて、可愛くて、私も何も言わずにぎゅっと握り返した。
幼稚園のときのことなんてあまり覚えてないけれど、そのことは今でも鮮明に覚えている。
今思えば、あの時から、私はもう恋をしていたのかもしれない。
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