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出社したら、やばいことになっていた
「どっひゃーーー!!!!」
翌朝のオフィス。
比奈の悲鳴で会社の界隈だけ震度五強。
壁という壁、天井という天井、床、デスク、トイレにまで隙間なく貼り付けられているのは、比奈のあんな写真やこんな写真だ。
更にはそれぞれのデスクの上の、パソコン画面いっぱいに流れているのは、以前比奈が慎也に見せられたあの卑猥な動画。
出勤するや否や阿鼻叫喚し、へなへなと膝から崩れ落ちる比奈。
しばしの間言葉を失い、慎也を恨む。
(と、とうとうやったな慎也……やりおったな……!なにあの人、口だけじゃなく本当にやる人だったじゃん!いや、やりそうかもとは思ってたけど!でもでも、こんなことしないでしょって多少は思うじゃん!!)
度重なる脅しに怯むことなく、毅然とした態度で対処してきた……とは言えないが、とにかく慎也に臆しはしなかった比奈。
しかしその結果がこれだった。
心ない声が彼女の耳に届く。
「うっわ。なにこれ全部風野さん?やっらし〜」
「意外といい乳してんな。今もこの張り健在なのかな。揉んでみてえ」
「なに言ってんだよお前。そんなことしたら九条係長にドヤされんぞ」
そう言って、くすくすと笑う者のほとんどは、仕事でもほとんど関わったことのない人たち。
そんな中、普段から比奈と接する機会の多い人間は、心の底から心配してくれた。
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