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鍛え上げられた大胸筋に、彼女の視線が一点集中。
今にも飛び出ていってしまいそうな眼でまじまじ見つめながらも、心の中では(裸!なんで!裸!なんで!)と、パニックに陥った。
(裸!なんで!裸!なんで!
なんで!裸!なんで!裸!)
壊れたレコードの如く、下手なリピートを続ける比奈をよそに、男は彼女の乳房を弄った。
「きゃあ!」
そこでようやく、『声』というものを出せた比奈の声帯。
男は言う。
「昨日頭打ったとこ、大丈夫?さっき比奈が寝てる時触ってみたら、ちょっとたんこぶできちゃってたけど」
乳房から外された男の手が、比奈の後頭部に移動していく。子猫でも愛でるかのようにそこを優しく撫でられて、比奈はほんの少しときめいた。
(って、そうじゃないでしょわたしのアンポンタン!つーかなんでわたしまで裸なのよ!)
乳房に触れた男の手の感触と、下半身に当たっている相手のほにゃららで、比奈は今の自分が服を纏っていないと瞬時にわかった。
(もしかして酔った勢いでこの知らない男の人とヤッちゃったの!?わたしってそんな軽い女だったの!?)
怒涛の後悔が押し寄せる中、頭痛が再び彼女を襲う。
「イッ──!」
一文字叫び、眉を顰めた。男が慌てて手を離す。
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