目覚めたら、裸の男にキスされた

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「ごめん、痛かった!?」 「い、いえ……!」 「やっぱり昨日、病院に行けばよかったかな。歩道橋から飛び降りた比奈がすくっと立ち上がって歩くから、そのまま僕んちに帰って来ちゃったけど」 (病院、飛び降り。え、今あんたなんて?)  一体全体、昨日のわたしに何があったのだ、と、昨日のことはちっとも思い出せない比奈なので、ここは恥を忍んで聞くしかない。 「あ、あのう……」 「うん?」 「き、昨日のわたしって、どうしたの……?」  少々変な日本語になったが、男に意は伝わった。 「え、覚えてないの?」 「う、うんっ……」 「食事の帰りに、酔って歩道橋から飛び降りてたじゃんか」 「は?」 「まあ、飛び降りたって言っても、橋の上からじゃなくて階段の数段上からだけどね。それでも着地には大失敗で、頭を強打していたよ」  なんちゅうイタイ女なんじゃ、と、比奈の感想はまずそれ。  忽ち恥ずかしくなって俯けば、男にクスッと笑われた。 「酒の勢いで飛び降りたこと、後悔してんの?あは、可愛い」  赤らむ頬を、ゆっくりなぞる男の指。 「大事に至らなくてよかったよ。僕も正直びっくりしたけど、酔ってそんな突拍子もないことをする比奈も面白くて僕は好きだし、結婚相手に選んで正解だったって、胸を張って言える」  その発言に、比奈は弾かれたように顔を上げた。 (ええええ!?け、結婚相手!?)  歩道橋での一件よりも我が耳を疑う、『結婚』というワード。男の面前でぱちくり瞬けば、本日二度目のキスをされた。 「比奈、愛してるよ。一生大切にするからね」
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