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俺……俺さ。
「及川さん…………ごめんっ!!」
「…………!!」
藤倉君の声に、体が震えた。
終わっちゃうんだ。
これで、終わっちゃうんだ。
もう、話したくない。
許せない。
大っ嫌いだ。
大っ嫌いだ。
涙がこぼれる目が、もっと熱くなる。いっぱいの新しい涙が、ミニタオルで拭いても拭いてもあふれだす。
「あ、あのさ……このタオル、あんまり使ってないから……ごめんね、泣かないで。俺がいけないんだ」
手に触れたタオルの感触に、イヤイヤをしてしまう。藤倉君は何も悪くない。最後まで、みっともない私。
ちゃんと、聞かなきゃ。
藤倉君が優しいからって甘えちゃダメ……!
もう、きっとこれで最後なんだから。
最後…………なんだから。
目をこすって、涙で歪む藤倉君を見る。
「本当のことを言うと、及川さんの言葉、ショックだった」
「…………!!」
「待って、聞いて。本当は聞かなきゃよかったんだ。でも……みんな、誰が誰を好きなのかって気になって……一緒になってコソコソ聞いてた俺が悪いんだ。及川さんは悪くない」
「……ちがっ、違う! 藤倉君は悪くないっ! 私がっ!」
私が。
私があの時ウソをつかなければ、誰もイヤな気持ちにならなかった。あのまま女子で恋バナが盛り上がって、きっと聞いていた男子達も盛り上がって。
藤倉君は……わからないけど、わたしのことを好きじゃなくっても、優しいから聞こえなかった振りをしてくれてたかもしれないのに。
「俺……俺さ。自分が及川さんと一番仲がいい男子でいたいって思ってたんだってわかった」
「え?」
「及川さんといる時、どれだけ話しても話し足りないくらい楽しかったし嬉しかった。でも……及川さんともっと仲がいいっていうヤツがいるって思ったら、どうしていいかわからなくなって……ヤな態度ばっかりして、本当にごめん」
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