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中村春馬(なかむらはるま)が大勢の人達に囲まれているのを遠目に見ながら、私はグラスに半分程残っているレモンサワーを一気に飲み干した。 「中村部長、前から噂には聞いてたけど男の俺から見てもドキドキするくらいカッコいいんだけど。 ねえ、とわちゃん?」 私の隣の席の1つ後輩の真田零斗(さなだれいと)のその言葉に妙に焦ってしまうのは、零斗が現在私の彼氏で。 中村春馬が昔の私の彼氏だからだろうか? 「うちの文夢堂会長の孫で本社社長の息子であり、あの端麗な容姿! 35歳で営業2部の部長で、将来は本社社長…、いや、グループ会長! ねえ、とわちゃん?」 無邪気に零斗はそうやって話し掛けて来る。 私はなんだか落ち着かない。 この人は私と中村部長が過去に付き合っていた事を知らない。 零斗は私と中村春馬が別れた後に入社して来た事もあるけど、私と中村春馬が付き合っていたのは会社の人達には内緒だったから。 だから、零斗だけじゃなくこの場に居る人達は皆私と中村春馬が過去に付き合っていた事を知らない。 私と中村春馬本人以外は。
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