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その後は、札幌支社での話や昔一緒に観た映画やドラマ等の話で盛り上がった。
飲み代は上司だからと、中村春馬が支払ってくれた。
店を出ると、秋の訪れを感じる空気を感じ、妙に切ない気持ちになった。
「この後どうする?」
店から少し離れると足を止め、そう切り出された。
行き先を決めないと、歩く方向も分からない。
このまま解散で私は一人自宅のあるマンションの方へ歩いて行くのか、それとも…。
「中村部長はどうしたいです?」
私の気持ちは決まっているけど、自分からは切り出さない。
「このまま十和子の部屋に一緒に行きたいけど…。
なんか、真田に浮気された事への当て付けに利用されるのは、嫌だ」
「よく言えるよね。
結婚して、奥さん居る身なのに」
この人は結婚していて、私は彼氏が居る。
とても背徳な事をしようとしている、私達。
この人の言うように、私は彼氏に浮気された事の当て付けにこの人を利用するのだとしても、不倫関係を迫って来るこの人も大概最低だろう。
「確かに。また十和子に好きになって欲しいとか思うのは、俺の贅沢だな」
「贅沢ってより、傲り過ぎ」
この人は、また私が好きになると思っている。
「そう?
それにしても、十和子は彼氏の浮気を知っても泣いたりしないんだ?
やけ酒はしても」
「…別に、人前で泣かないだけ」
このまま一人マンションに帰ったら、私は泣くだろうな。
今頃、零斗は三浦さんと一緒に居るのかな?とか、色々思って。
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