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そして、私は中村春馬と別れた。
別れて暫くして、彼は噂の婚約者と入籍して、札幌支社へと栄転した。
今思うと、付き合っていたと思っていたのは私だけで、遊ばれていただけかもしれない。
あの頃の私は新卒で入社したばかりの23歳で若くて純粋で。
就職を機に田舎から出て来たばかりで、今思うとちょっと世間知らずで。
中村春馬は7つ年上で気さくで頼れる素敵な先輩で、それにあの洗練された容姿。
そんな彼に好きだとか言われて。
コロッと騙されていただけかもしれない。
今となっては、もうどうでもいいけど。
ただ、出来たらもう二度と会いたくないと思っていたのに。
5年振りに私の所属する本社営業2部の部長として中村春馬は舞い戻って来た。
今日、中村春馬は営業2部の部長に就任して、今、その歓迎会が会社近くの居酒屋の個室で行われている。
雰囲気的に、このまま二次会もしよう!みたいな流れになっている。
正直、私はもうこんな空間には居たくなくて、一次会でさっさと失礼しよう。
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