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◇
「遅い。またコンビニで甘い物ばっか買ってたの?」
自宅マンションの前に、中村春馬が居て、
私の手に持つビニール袋を見ている。
彼の言うように、この袋の中には甘い物が沢山入っている。
苛立っているのか、大好きな甘い物を食べて癒されようと思っていた。
「十和子、まだこのマンションに住んでたんだ」
私は入社してからずっとこのマンションに住んでいて、昔、この人をこのマンションの私の部屋へと何度か招いた事がある。
「春馬…中村部長、なんでここに?
二次会に行かれたんじゃあないんですか?」
「二人の時は春馬でいいよ。
十和子が居ないから、俺も抜けて来た」
「けど、中村部長は今夜の主役なのに」
だって、今夜はこの人の歓迎会で部の皆で集まって飲んでいた。
「大丈夫。みんな理由付けてもっと飲みたいだけ。
俺が抜けても、大半の人達が二軒目に向かってた」
確かにうちの営業2部はお酒好きな人達が多い。
私もそうなので、今夜一次会で抜ける私を何人かは不思議がっていた。
「あの、中村部長はここで私を待っていたのですよね?」
「うん。十和子と話したくて」
話?今さら何を話すと言うのだろうか?
謝罪とか?
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