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「真田君、おはよう」
私がデスクに行くと、向かいには出社したばかりの零斗が居る。
「え、あ、うん。本田さんおはようございます」
ただの挨拶なのに、零斗の目は泳いでいて。
私から目を反らしすぐに椅子に腰を下ろした。
その態度、私に後ろめたい事があるのは明白。
視線を感じてそちらを見ると、三浦さんがこちらを見ていて。
私を睨んでいるような、今にも泣きそうな表情で、プイっと視線を反らされた。
なんだか、私が悪者のよう。
私の方が泣きたいような気持ちで、椅子に腰を下ろした。
彼氏に浮気された悲しみと怒りが入り交じり、今にも思い切り叫びたい。
零斗とは二年付き合っていて、もしかしたらいつかこの人と私は結婚するのかな?と思っていた相手で。
まだ零斗と別れるって決まったわけじゃないけど、そうなるのだろうな。
零斗が私より三浦さんを好きなのかどうかはともかく、浮気されて、私はそれを知ってしまったから。
その為の話し合いを、近いうちに零斗として…。
視線を漂わせ、中村春馬の方を見る。
既に出社しており、デスクでテイクアウトして来たと思われるコーヒーのカップを片手で持ちながら、パソコンに目線を向けている。
私の視線に気付いたのか、中村春馬は私の方へと視線を向けて来る。
小さく溢された笑みに、私の気持ちがこの人に傾いて行くのを感じた。
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