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なんだか熱っぽい。
身体が重たい。胃の辺りに不快感があってどうにも食欲がわかない。
「変な食べ物でも食べたかな」
思い起こしてみても思い当たらない。
目の前には機嫌よく夕飯づくりをしている和人の後ろ姿。
「ひなた、もうすぐ夕飯だよ」
振り返った和人がふわりと笑う。テーブルに近づいて僕の頭を撫でるとランチョンマットを広げた。その上に皿を並べてトマトの香りが漂うミネストローネスープを置いた。
「……和人、ごめんなさい。食欲無い」
口元を押さえて、「少し横になります」とテーブルから立ち上がって自室に向かった。
あいにくと胃腸薬は切らしていてそのままベッドに横になる。
後ろを追いかけるようについて来た和人が、「発情期にはまだ早いよね?」と聞いた。
「そうですね。まだふたつきしか過ぎてないですから」
「疲れかな? ゆっくり休んで。明日も調子悪そうなら休んでもいいから」
横になった僕のすぐ横に腰を下ろして頭を撫でる。
「明後日は桐生とユキさんが来ますよ」
「そうだけど、君の体調の方が大事だよ」
「最近忙しかったので、そのせいですよ」
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