今夜、月というものが

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僕の手より小さくて細いのに、どうしてこんなに温かくて柔らかいんだろう。手を繋ぐといつもドキドキする。多分大人になってもそうなんだと思う。 そんな気持ちとは関係なく、僕を包む魔法の光は手を伝わってルナの体に広がり、少しだけ強い光になって二人をぷかりと宙に浮かべてくれる。 「へっへーん」 ルナ、そしてこの笑顔である。 いたずら猫みたいでかわいい。 今はまだ空をよちよち歩きしてる感じだけど、ちゃんとビュンビュン飛べる様になったらもっと良い防寒コート買ってもらわなきゃね。 空の上は地上より寒いし風も強いから、ルナが鼻水垂らさない様に。 「また何か変な想像したよね?ぐすっ」 「してないってばあ」 「それにしてもさあ、楽しみだね! 月ってどんななんだろう?」 「ふふ、そうだね」 あと何日かしたら空に、月と言うものが見えるらしい。 もちろん僕も楽しみで、興味津津で。 そして、ちょっとだけ怖くもあった。 「みんな、大変だぞ! もうすぐ月が見える日が来るそうだ!」 なんて言いながらスクールの先生も、すっごく楽しみな顔をしてた。 「ルナは月ってどういう物か知ってるかい?」 「先生、私は歴史が大好きなのよ!もちろん知ってるわ」 「ほほー、そうかそうか。じゃあみんな知ってるな」 「どういう意味ですかああ」 「冗談冗談。まあせっかくだし、今日は月について語ってみようかな。みんなが知らない事もあるかもしれない」 一応、僕も他のみんなもだいたいの事は知っていたつもりだったけど、こんなに真剣に先生の話を聞いたのは初めてだったかも。 ごめんね先生。
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