今夜、月というものが

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「月が空に見える、と聞いて君達はどう思った? 楽しみだけど、ちょっと怖い気もしないかい?だって見たこともないんだから。 昔、魔法を使えない人達は、魔法を使える人達の事を同じ様に思ったんだ」 先生だって月は見たこともないくせに。 先生が言う通りだとすると、昔、魔法を使えない人は、魔法なんてお話の中のものだと信じてたんだって。 でも、本物の魔法を使える人達はちゃんと世界のあちこちにちょっとずつ住んでいたんだ。 魔法を使えない人達の多くは、使える人達の事をちょっと怖いと思った。魔法を使える人達もそれを分かってて自分達だけの秘密にしていた。 でも地球が大変な時だもの、勇気を出して頑張ったんだ。たくさん、たくさん人が亡くなったけど、それでも。 僕らがこうして平和に暮らす事が出来るのは、その頃の人達のおかげ。 大変な事になっていた地球は、今も科学と魔法の力を合わせて支えられている。 残った人達はもう言い争ったり、戦争とかしてる場合じゃなくなった。 魔法を使える人達と使えない人達も、お互いの事を認め合って一緒に暮らす様になった。 だから僕らのご先祖様を辿れば、どこかで魔法を使える人の血を受け継いでいるみたい。でも個人差があって、僕みたいにパパもママも魔法を使えなくても子供は使える事もある。隔世遺伝って言うんだって。 だからルナは同い年だけどまだ魔法を使えない。 使えるかどうかは分からない。 ずるいって言われても僕のせいじゃないのさ。
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