33人が本棚に入れています
本棚に追加
54
俺が転生した惑星には大陸が1つしかなく、その大陸はジゴク大陸と呼ばれる。
ジゴク大陸には7つの王国があり、それぞれ特徴ある国のようなのだ。
俺が住むハリヤマ王国の特徴は魔法だ。
驚いたことに、他の王国では魔法が使えないらしい。
ハリヤマ王国の魔法使いが他の王国へ行くと魔法が使えないのだ。
ハリヤマ王国内にしか魔素がないのかもしれない。
ジゴク大陸の北にはサムイ王国、南にはアツイ王国。
東にはシャッキン王国とジュケン王国。
西にはカンデン王国、ハリヤマ王国、ゴミ王国がある。
地形的な関係か分からないが、ハリヤマ王国だけに魔素が集中するのかもしれない。
しかし、この大陸はジゴク大陸。ハリヤマ王国が針山地獄だとすると、他の王国は寒い地獄、暑い地獄、借金地獄、受験地獄、感電地獄、ゴミ地獄なのだろうか。
サムイ王国は剣技が優れし者を良しとする。
サムイ王国=サムライ王国、か?
アツイ王国は武器を使わず熱い拳のみで敵を倒すのが国の法らしい。
シャッキン王国は欲しい物があれば借金してでも買え、宵越しの銭は残すなみたいな。
ジュケン王国は頭がより良い人がより偉く地位も高い。
カンデン王国は機械科学が発展している。
ゴミ王国は他の王国から回収したゴミや、海岸に流れついたゴミをリサイクルしている。
で、俺が住むハリヤマ王国と隣のカンデン王国は仲が悪いそうだ。
まあ、魔法使いの国と機械科学の国だし。
ファンタジー対リアル、って感じだもんな。
カンデン王国は機械科学の国らしいから、どれだけ発展しているのかと思ったが、モールス信号や最高速度30キロくらいの電気自動車が作られ始めたくらいらしい。
ジゴク大陸で1番発展している王国でもそのレベルなのか。
ハリヤマ王国では時速1000キロの魔導飛行機が空を飛んでいるのに。
まあ、俺が前世の記憶を元に作ったんだけど。
ハリヤマ王国以外の6王国について調べたり教えてもらったりしたのだが、大まかに分かったのはそんな感じだった。
100年くらい前までは各地で戦争があったらしいが、今は軍事バランスが拮抗しているのか、各王国の国王が平和的な考えなのか、大きな戦争は起きていないらしい。
元日本人の俺からしたら平和なのは良いことだ。
・・・・・・
大きな戦争は起きてないジゴク大陸だが、国境での小競り合いはあるし、各王国は別の王国へスパイを送り込んでいる。
各王国は鎖国をしているわけではなく、海からの貿易や外交等はしているのだ。
山や陸路にはモンスターがいるが海にはいないので、外国との行き来は海路が主になっている。
ここ最近、ハリヤマ王国内の各王国スパイは急に忙しくなった。
いきなり魔道具やスマホが普及し始め、魔道戦闘機や魔道ロボットが作られだしたのだ。
伝説の神獣ハリヤマ様が2体も現れたりするし。
ハリヤマ王国に潜入していた各王国のスパイは報告書をまとめ、急ぎ自国へ持ち帰ったり送ったりした。
カンデン王国の国王の元にも、ハリヤマ王国に関する報告書が宰相により手渡された。
「国王、ハリヤマ王国に関するスパイからの報告書です」
「うむ」
報告書を読みふけるカンデン国王。
しばらくして国王は報告書から目を離した。
「宰相よ」
「はい」
「我が王国のスパイは作り話を持ち帰ったのか?」
「と、言いますと」
「スマホや魔力エアコンとかの魔道具は分かるとしても、ハリヤマ国王レベルの能力を持つ人型兵器や時速1000キロで空を飛び、荷物や人を運び兵器にもなる乗り物。そして、伝説の神獣が2体も現れた、などだ」
「私もこの目で見たわけではなく、作り話か本当かどうか」
「まあ、それはそうだが」
「しかし、人型兵器や空を飛ぶ兵器などは魔力で動いているようです」
「うむ」
「魔力で動くのなら、我が王国内ではゴミと同じ」
「確かに。我が王国内では魔法は使えぬからな。しかし、伝説の神獣ハリヤマはどうなのだ」
「私が思うに、魔力で作った見た目だけのハリボテではないかと」
「ふむ、ハリボテか」
「はい。我がカンデン王国の機械科学技術は世界1。魔法が使えない兵器やハリボテの偽神獣など怖くもありません」
「そうだな。して、我が王国の兵器開発はどうなっている」
「こちらが報告書です」
「うむ」
カンデン王国内の兵器開発に関する報告書を読むカンデン国王だった。
最初のコメントを投稿しよう!