第1話 無欲な空き巣は何を盗む

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「関係大ありですよ奥さん。これはなんですから。でも空き巣は足場を確保しなかった。脚立は埃をかぶっていたので、使われた痕跡なし。椅子やスツールも運びこまれていなかった」 「ソファに登ったという可能性は?」  口を挟んだのは冬助だ。気になったのだから仕方ない。 「ない。ソファと本棚は離れ過ぎている」  確かに。本棚は部屋の隅に設置されていた。ソファの重量的にも、中央に位置するそれを台座にすることは難しいだろう。 「空き巣は本棚の上を物色する時、足場を使わなかった。もし本気で金目の物を探すなら、椅子でも何でも足場を用意したはずです。これが違和感その一。  違和感その二へいきましょう。割られた磁器像、これも考えてみたら奇妙です。磁器像は二百万とのことで、実際かなり精緻な作りだった。人の家はいってまで盗みを働こうという輩が、そんな価値のあるものを破壊した。これって変でしょう。リヤドロでしたか、磁器像のメーカー。。空き巣がそれをむざむざと破壊したとは考えにくい」 「磁器像を壊したのは、模造刀を取ろうとしたからでは?」
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