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 それでも無愛想な仁を雇ってくれたのだから、感謝していた。もっとも人手不足で店も仕方なく雇ったという事情もあった。   ある夜、店に石川陽子が来た。仁の母、真理と石川陽子は従姉妹である。陽子は、仁より年上だけど、若く見える。仁の母は、陽子の母、アーニャと親しくしている。  陽子の父と仁の父は、同じ建設会社に勤めていた。だから、陽子の情報は、両親から入ってきた。 陽子は、演劇に夢中で役者だ。ロシア人の母、アーニャの血を引いていた。  陽子の目は、きれいなブルーだ。整った顔立ちで、注目される存在だ。 仁は、注文を取りに陽子のテーブルに行った。陽子は、すぐに仁だと分かり、大きくなった、立派になったと誉めた。
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