私はアリス

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「よく来てくれたね……」 「それは私の台詞よ……! 会いたかった!」  温かな愛情が、私を強く包み込んでいる。全身を強く打つ脈が、誰のものか分からないくらい私も力を込めた。 「行こう、アリス」  手は繋いだまま、自然と体を離す。ダンスでも始まりそうなステップで、引かれるがままに足を踏み出した。  最後に一瞥したベランダでは、お父さまが私たちを見ていた。濃い影に落ちた顔は、感情を塗りつぶしていた。  ごめんなさい、お父さま――でも私は行くわ。この足で、本物の夢の国へ。
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