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☆ ☆ ☆
それから1年が経った。世界はあっという間に変わった。元エリートであるアルファたちは一気に職を失い、まともな職につけず路頭に迷った。
女は夜の仕事でも待遇がかなり悪い仕事内容でなんとか働ける者もいたが、男はもっとひどかった。
そんな中、私、九条美怜は貯金が尽き、住んでいる家を出ていくはめになった。私は待遇がひどい仕事にでさえ就くことは出来なかった。
1日1食でもご飯を食べられたらマシなほうで、毎日生きるだけでも大変だった。
明日になったら死んでるんじゃないか?
そんなことを考える日々。
男を誘うにも平均値より下な容姿だと誰も食いつかず。以前なら顔も整っていたが、アルファが最底辺となった今ではそれもただの飾り。
たまに私の魅力に釣れたと思ったら、不定期に起こるアルファの発情期の匂いに釣られ、私を本能のままに襲うケモノばかり。
こんなにも生きるのがツライと思ったのは、これが生まれてはじめてだ。
こんなのはオメガに生まれた者が受ける待遇じゃないの……? あぁ、でも今はオメガがエリートなんだっけ。これが夢だっていうなら早く覚めてほしい。
どんなに願っても、朝起きて目が覚めても、現実は何一つ変わってなくて。
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