甘く蕩けるような愛で

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「いくらだ?いくら積めばそれを返す?」 「金でなんとかなると思ってるのか…」 「私が貰ったんだ。私の遺伝子を残す為の道具を返してもらおう」 俺はその言葉にマスターの服を握り呼吸が荒くなってゆく。俺を綺麗だと言ったのも何もかも全て俺が逃げないようにする為の嘘…? 「他にもΩはいくらでも居る」 「片目が見えないのは惜しいが体も美しいし具合も素晴らしい」 「帰るぞ柊。両親の墓の場所知りたくないのか?」 心臓を握りつぶされるかのように苦しい…息が出来ない。俺はこんな男の元で飼い殺されるしか無いのか…? 「帰らなくていい。俺が探す」 「お前が?たかだかBARのマスターが??あははははっ!傑作だな」 「そうか。手を引かないのか…わかった」 マスターはスマホを胸ポケットから取り出してどこかへ電話をしている。俺も将臣もその様子を見ていれば、マスターは俺を見て優しく微笑みかけてくれる。 通話が終了してお互い沈黙が流れていれば、今度は将臣のスマホが鳴る。やれやれと言った雰囲気でスマホをズボンのポケットから取り出して電話に出た。 「どうしたんです父さ…え?どういう…わ、わかりました」 焦った様子で電話を切り、マスターを睨みつけるがマスターは腰に手を当て涼しい顔をしている。 「そんな物くれてやる!!だが子は私の物だからな」 将臣はそう吐き捨てBARを後にした。
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