甘く蕩けるような愛で

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ドクン。ドクン。ドクン。 俺の心臓が強く脈打ち、胸元の服を握りながら息を整える。橙のほのかな照明が落ち着きのある雰囲気を醸し出し、カウンター席やテーブル席があり既に客が居て飲んでいる。 内装も落ち着いた色で統一されていて、落ち着きたい時などに訪れるには最高の場所のようだが今の俺には落ち着ける場所では無い。 初めて感じるこの感覚…腹の奥がドクドクと脈打つようで、抱かれたくてたまらないと本能が感じる何かがここにはある。 「いらっしゃいませ」 「少し強めの物を。金に糸目は付けない」 将臣がカウンター席に座るので俺も座り、俯いて胸を抑えて収まるよう呼吸を繰り返す。ふわりと香る甘い香りは将臣から感じるαの香りとはまた違う、俺の本能を引きずり出すようなそんな香り… 顔をあげれば若いマスターが将臣にカクテルを作っていて、その人からする香りだと気付いた。黒髪に青みがかった瞳で、体格の良さそうなそのマスターはシェイカーからグラスにカクテルを注いでいて注ぎ終われば将臣はそれを俺の前に置いた。 「フェロモンを垂れ流してそんなに犯されたいのか?」 「はぁ…はぁ…」 俺は今どんな顔をしてるのか分からない。マスターを見れば目が合いマスターも俺を真っ直ぐ見ていて、俺はカクテルを煽り飲み将臣に早く帰りたいと告れば将臣は金を払い来たばかりなのにと言いながらもタクシーを呼びマンションに帰った。
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