0人が本棚に入れています
本棚に追加
その日の夜、地球にいた人は全員驚いたに違いない。
なにせこんなことが起きるなんて、奇跡か地球滅亡のカウントダウンとしか思わないからだ。
空を見上げると、そこには二つの月。
一つは黄金、一つは蒼い銀。
金と銀の水引が流れるオマケつきだ。
こんな幻想的な光景は今まで見たことがない。
この日、私は二つの月に遭遇した。
ずっと月は地球に寄り添ってきた。
まるで誰かを探すかのように地球のまわりをグルグルグルグル回っていた。
綺麗な一面だけを切り取って、月は裏側を見せなかった。
「……やっと出逢えたんだね、お月様」
はじめまして、二つ目のお月様。
月と月の逢瀬。
世界革命よりも大きな衝撃を与えたSFショー。
「……私たちは、これから何と出逢うのかな」
それは数秒後に出逢うのか。
それとも夜明けか、また次の夜か。
今かもしれない。
その二つの月が出逢った夜。
水引流れる空に遭遇した、真夏の月。
虫は一匹も鳴いていなかった。
【1999.07.XX. 二つ目の月に大王を確認】
【人類は今も変わらず夢を見ていた】
最初のコメントを投稿しよう!