2766人が本棚に入れています
本棚に追加
ふじみやのことも大切にしていて、大手商社でのキャリアを蹴ってまでふじみやを継いだ。
誰よりも優しくて家族のためにいつも頑張ってくれるお兄ちゃん。
私はお兄ちゃんの妹に生まれて誇りに思うよ。
「――私、三谷須さんと結婚する」
だから、私にもできることをさせて欲しい。
「紫!?何を言ってるんだ!?」
「紫!!」
「私が三谷須さんと結婚したら借金帳消しになるんでしょ?するよ」
「そんなのダメだ!!紫が結婚するまで見守るって言ったけど、こんなのは絶対違う!」
「でも私だってふじみやがなくなるのは嫌。ここは生まれた時からある大事な場所なんだもの」
「だからって、紫が犠牲になることないんだぞ?」
「犠牲じゃないよ。あの人、私に気があるっぽかったし、大事にしてくれるかもしれない。
もしかしたら、私も好きになれるかもしれないでしょ」
「紫……」
恋愛する前に結婚なんてもちろん不安もあるけど、お互いのことをよく知ったら案外上手くいくかもしれない。
そう思い込みたいだけとも言えるけど、それでもいいの。
ふじみやを守れるのなら。
「紫……、本当にいいのか?」
「うん、そうさせてください」
私はずっと大事に守られてきた。
まだ学生の私にできることなんて限られてる。家族とふじみやを守るためには、きっとこれがベストなんだ。
最初のコメントを投稿しよう!