最初で最後の一夜

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 何となくムッとした。やっぱり私のこと、子ども扱いしてる。  私はネクタイを引っ張り、自分からキスをした。 「余裕ですよっ」 「……余裕ねぇ」  ペロリと舌を舐めたかと思うと、再び口を塞がれる。今度は触れるだけじゃない。  無理矢理口をこじ開けられ、舌を挿れられた。  次の瞬間、感じたこともない快楽で窒息しそうになる。舌を絡め取られ、何度も角度を変えて貪るように食まれて。 「ん……っ、ふぅ……っ」  自分が発しているとは到底思えないような声が漏れ出てしまう。  そんな息遣いさえも奪われた。 「んんっ、はぁ……っ」  唇が離れ、唾液の糸が垂れ下がる。上手く息ができなくて本当に窒息するかと思った。  なのに気持ち良さを感じてしまって、心の奥ではもっと、って求めていたような気がする。 「……えろ」 「え……?」 「いや、その顔エロすぎ」  そう言われても自分がどんな顔してるのかなんてわからない。 「いいよ。紫の初めて、俺がもらうわ」 「……っ!」  今更だけど、私はとんでもない提案をしてしまったと思った。  でも今更後には引けない。 「お兄ちゃんには内緒な」  ……本当にこんなこと、お兄ちゃんには絶対言えないよ。
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