最初で最後の一夜

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「っ、もう途中で待ったはなしだから」 「あ……っ!」  こんなお願いしちゃう私もどうかと思うけど、キリさんだってキリさんだ。  頼まれたとはいえ、親友の妹に手を出せてしまうのだから。  お兄ちゃんに知られてしまったら――……、泣いちゃうかな?怒られるかもしれない。 「意外と余裕じゃん」 「だって、おにいちゃんに……」 「こんな時でもお兄ちゃんかよ」 「んああ……っ!」  指で思いっきり突かれて掻き乱され、思わず身体が仰け反る。 「今は俺のことだけ考えてろ」 「き、キリ……っ」  キリさんと呼ぼうとして、皆まで言えなかった。激しく掻き乱される度にゾクゾクとした感覚に蝕まれ、何度も意識を奪われそうになる。 「もっと呼んで、紫」 「キリ……っ!」  初めては痛いと聞いていたけど、本当にそうだった。だけど張り裂けそうな痛みとともに、迸る快楽の波も押し寄せる。  最初は私の身体を労わるように緩やかに、慣れてきたと思ったら激しく突き上げられる。 「あっ、あっ……きり……っ」 「紫……っ」 「ん……」  唇に唇が重なり、舌を絡ませ合い、何度も唾液を交換し合った。もうどちらの唾液かわからないくらい、何度も口付けた。  ――初めてがこの人でよかったな……。  意識が真っ白になる直前、そんなことを考えていた。  最後に私の我儘を聞いてくれてありがとう。  これで本当の意味で、この初恋にお別れができる――。  そして、私は意識を手放した。
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