初恋の続き

3/10

2607人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
 グイッと腕を掴まれて、ゾッと悪寒が走った。鳥肌が立った。  怖い、気持ち悪い、触られたくない。  あの時と全然違う。ダメだ、私はもう知ってしまったんだ。  好きな人と触れ合うよろこびを――。 「ほら!早く来いよ!!」 「やめて……っ!!」  無理矢理車に乗せられそうになった。  もうダメかと思った、その時だ。 「その手を離せ」  やっぱり、小学生の私は間違ってなかったのかもしれない。初恋の人は、やっぱり王子様だったのかも。 「汚い手で紫に触るな」 「キリさん……っ!!」  来てくれたことが嬉しくて、更に涙が溢れた。  そんな私をキリさんは優しく抱きしめてくれる。それだけで安心できた。 「もう大丈夫だから」 「はい……っ」  私の頭を優しくポンポンと撫でた後、キリさんはギロリと三谷須さんを睨みつける。 「紫のこと泣かせやがって」 「お前こそ何者なんだ!?紫さんは僕の婚約者だぞ!!」 「お前みたいなクズが二度と紫に近づくな」  キリさんの本気で怒っているであろう、ここまで低い声は初めて聞いた。 「お前の悪事は全部わかってる。全部通報してやったから後は警察で吐きな」 「ななな何を言ってるんだ!?」 「お前が一番よくわかってんだろ」
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2607人が本棚に入れています
本棚に追加