初恋の続き

8/10

2607人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
 ヒョイっと抱き上げられたかと思うと、ポイポイと靴を脱がされ、そのまま抱っこされて連れて行かれた。  訪れるのは二度目になる寝室は、この時初めてちゃんと全貌を見たような気がした。  中央にあるキングサイズのベッドの横にサイドテーブルがあるだけの、広々としてシンプルな寝室。  ふかふかで反発性が心地良いマットレスの上に、大事そうに寝かされる。かと思ったら、今度は強引に唇を奪われて服はたくし上げられ、大きな手が私の胸を包み込む。 「んっ、まって……!」 「待たない」 「やっ、キリさん……っ」 「キリでいいよ。あの時みたいに」 「っ、」 「呼んで、紫」  私を見下ろすこの目が好きだ。  情欲滾らせて私を求めてくれる、この目が。  たまらなく好きで苦しくなる。 「キリ……すき」  想いとともに何故か涙も溢れ出た。  あなたが好き。本当はずっと好きだったの。  傷つきたくなくて、この初恋と早くお別れしたくて必死だった。  初めては好きな人に捧げたかった。  でも、本当はあなたの心も欲しかった。 「好きなの、ずっと……」 「〜っ、あーもう……!」  キリは何故か苦悶するような表情を浮かべた後、覆い被さるように強く抱きしめた。 「やばい、想像以上の破壊力……」 「え?」 「かわいすぎる」
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2607人が本棚に入れています
本棚に追加